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いくつかの作品では、創作したショートストーリーもあわせて製作しております。

ここではその一部をご紹介しております。

作品とともにお楽しみいただければ幸いです。

『星まつりの夜に』

​(2019年製作)

星まつりの夜、それはひっそりと花開く

 

森の奥のそのまた奥に

 

星の色を映したようなきらきら輝く花びらと、
うんと深い藍色の葉をぴんと伸ばして
ひっそりと花を咲かせる

 

その花をみつけたら、願い事がひとつ叶う
澄んだ心で望んだら、願い事がひとつ叶う

 

私のたったひとつの願い事

 

遠い星になったあの人に
大事な大事な言葉を届けて

 

いえなかったあの言葉を、どうか届けて

 

今は遠い遠い星になってしまったあの人に

大事な大事な言葉をどうか届けて

『朽ちた研究所にて』

(2019年製作)

きっとお前の病気を治す薬をみつけてくるよ
あの研究所にあるはずなんだ

そういってお兄ちゃんは旅立った

 

あれからいくつも季節が巡って
何度も夜を越したけど
お兄ちゃんは戻ってこない

 

誰より優しくて、私を守ってくれたお兄ちゃん
一度だって約束を破ったりしなかった

 

だから私はお兄ちゃんを探しに行く

 

きっとお兄ちゃんは森にいる
あの暗く朽ちた研究所のどこかに

 

私がお兄ちゃんをみつけてみせる

 

泣いたりしないで
めげたりしないで

 

きっと私がお兄ちゃんをみつけてみせる

あの丘に、ことしもあの花は咲く

ひらり、ひらり、と花弁を風に散らしながら

 

たとえ言葉を交わせなくても
最後のひとひらが散り終わるまでの短い逢瀬でも

 

私は今も、これからも

 

この丘で、降る花のように君を想う

『君を待つ』

(2019年製作)

約束の水色リボン

(2019年製作)

明日は旅立ちの日

ぼくはここをはなれて、遠くの寄宿学校へいく

 

どこへいくにもなにをするにも一緒だった
きみとも、お別れ


これは約束の水色リボン


たとえ声が届かなくても
ぎゅっと抱きしめられなくても

 

きみとぼくとは、ずっと友だち

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